東京・江東区亀戸で半世紀以上営業している印刷会社です。デザインから印刷までを一貫して承ります。
カタログ・チラシ・フライヤー・ポスター・ポストカード・名刺…こんなモノ作れる?と思ったら、気軽にご相談ください。

株式会社興栄社

日本グラフィックサービス工業会会員・東京グラフィックサービス工業会会員・GP認定印刷工場

3分スピーチ紹介

ハイス専門

2022年1月14日 

総武線に乗った際の話です。

錦糸町から両国にかけての間で、北側の景色を眺めていると、いつも、とある建物のサインに目が行きます。
オレンジ色の建物に、やや薄くなった字で、「ハイス専門」と書かれています。
グーグルマップによると、扇鋼材さんという会社のようです。

わたくしは勝手に親近感が湧いてしまうのですが、ハイスとは、ハイスピード鋼と呼ばれる工業材料になります。
自分の経験のなかでは、ボールペンのペン軸(プラスチック)を、部分的に細く削るための刃物に使われていました。

職人さんが、その刃物を小型旋盤に取り付けて、高速で回転させたペン軸に当てます。そうすると、シュルシュルと小気味の良い音を立てて、カンナをかけたようにプラスチックが削れるのです。
綺麗な切りクズが出て、眺めていると面白いものでした。
現在、工業的な刃物では、超硬合金と呼ばれる素材が多く使われています。これは本当に硬いもので、ダイヤモンド製のグラインダーを使って、少しずつ少しずつでないと研げないような代物です。

その点、ハイスピード鋼は、通常のグライダーで研げてサイズ調整もしやすく、値段も安いことから、使い勝手の良さが特長です。
職人さんの研いだ刃物が機械の横に並んでいるのを眺めると、どこか温かみのある輝きで、美しいものでした。
難点は、(超硬に比べると)切れにくくなるのも早く、メンテナンスに手間がかかることです。
恐らく工業刃物としては、使う機会が減っている材料かもしれません。

電車で扇鋼材さんの建物を見るたびに、懐かしさとともに、そんなことを思い出しました。

※この記事の掲載許可をいただくため、扇鋼材株式会社様と電話でお話をしました。
ハイスは摩耗に強いことから、現在は金型やローラーの材料などに使われているそうです。
公開ご快諾くださり、ここに厚く御礼申し上げます。

3分スピーチ紹介一覧へ

3分スピーチTOPへ

Twitter